「中前さんがいなければ、この子はこの世にいません。本当にありがとうございます。」
この言葉は、約25年前、私が出逢い業を仕事として真剣にとらえるきっかけとなったものです。
当時24歳、とあるイベント会社で年間約800回、毎日のようにカップリング(お見合い・婚活)パーティを開催し多くのカップルを誕生させていました。
しかしながら自分たちの認識は、クラブやレストラン、ホテルの宴会場などで、あくまでもイベント・レジャーとしての気軽なパーティを開催してましたので、その場限りのものとして考えていました。また、私自身も独身ということもあり、その人たちがその後どうなるということに関してはあまり関心はありませんでした。
もちろん年頃の男女が仲良くなるのですから、交際し、その数年後とかに結婚する人も多く、「結婚しました!」「その節はお世話になりました」というハガキや年賀状はそれまでにも毎年何十枚もいただいていました。
しかしながらそのハガキをみても「へーそうなんだ、よかったね」くらいにしか思っておらず、(勿論その瞬間はとても嬉しかったですが)特別に何かを感じるわけでもありませんでした。
そもそも年間に6万人以上の方々と会っていましたのでほとんどの方の顔はもちろん、誰と誰がカップルになったかなんてほとんど覚えることはできないのが正直なところでした。
そんな中、届いたハガキ、「はいはい、いつものね」という感じで目をやったところ入ってきた言葉が冒頭のものでした。
若いご夫婦と抱きかかえられた赤ちゃんの写真に添えられていた丁寧な文字、それを見たときになぜかわからない衝撃と大きなプレッシャーを感じました。
「中前さんがいなければ、この子はこの世にいません。本当にありがとうございます。」
お医者さんが言われそうな言葉を、自分が言われている・・・
そして次の瞬間
「この仕事は単なるイベントや出逢いの仕事ではない。
人の人生を扱う仕事だ。」と思い、
更には
軽い気持ちでやるわけにはいかない。
「もっと真剣に、もっとこの仕事を極めないといけない」と決意しました。
確かに写真に写っていた赤ちゃんはその二人が出会わなければこの世に生を受けることはなかったでしょう。
私が開催したパーティがあったからこそ二人が出会ったという事実。
すべてを含めて世の中では「縁」というのならば、その「縁」を文字通り「縁」の下の力持ちとして、作り、支えていくことが自分の使命であり社会における役割だと感じた当時の一枚のハガキとのご縁。
たった一枚のハガキが自分の人生を作る。そのハガキの主人公も、当時の私の年齢、すでに立派な大人になっていることでしょう。
私は、逆にあなたの存在のおかげで自分の人生の軸が決まりました。
あれから約25年、色々ありましたが、今も人と人との縁をつなげる出逢いの仕事に取り組んでいます。婚活者の未来を作る仕事をしています。
地球上に何十億人の人がいようと、自分の代わりになる人はいない。
だから自分の精一杯をこの仕事に捧げ、一人でも多くの幸せなカップルや夫婦を誕生させる。人々のために仕事をしていると思っていましたが、結果それが自分の為であったことを最近では特に実感しています。
自分にとっての天職に出会えた喜びと感謝の気持ちを忘れず、日々これからも精進してまいります。